読了

WiLL (マンスリーウィル) 増刊 すぎやまこういち ワンダーランド 2011年 12月号 [雑誌]

たまたま本屋の店頭で見かけて手に取った一冊。「『WiLL』の増刊?」ということでちょっといぶかしみながら手にしたが、中身は非常に密度の濃い対談やインタビュー。ドラクエ好きならば絶対買うべき。 ドラクエのあのゲームミュージックに関するエピソードは…

結城浩『数学ガール/乱択アルゴリズム (数学ガールシリーズ 4)』ソフトバンククリエイティブ

シリーズ最新刊、とはいえ刊行されてからだいぶ経っているが、ふと読み直してみたくなったので再読。 せっかくなので、別のところに昔に書いた『数学ガール (数学ガールシリーズ 1)』(シリーズ第1巻)の評を、はてなに転載。 On the "Mathematical" Side …

有川浩『別冊 図書館戦争I』角川文庫

わはは、甘いよ甘過ぎるよー(死語)。 それでもだ。ラブコメの前にやっぱり「タスクフォースの連中の日常ドタバタコメディ」という軸はぶれていないし、必ずしも「最初から最後までひたすらラヴ」とも言い切れない、お汁粉にちょっと塩を入れているかのよう…

有川浩『図書館危機』『図書館革命』角川文庫

いやあ、面白かった! 少し重いテーマを中心に据えつつ、しっかりコメディとして回している、第3作の『危機』。そして日本中を巻き込む大騒ぎを仕掛ける、本編最終作にふさわしい『革命』。久しぶりに心の底から読書を楽しめた気がする。 プロットだけ見る…

鯨統一郎『新・日本の七不思議』創元推理文庫

うーん、鯨作品は、突拍子もない回答を平然と押し付けてくる強引っぷりが醍醐味なのに、結論が変に中途半端でどうにも押しが弱くモヤモヤした感じが残る。そうなると、この人の欠点である「会話文や状況描写が味気ない」という面が鼻につき、どうにもしんど…

伊藤計劃『虐殺器官』ハヤカワ文庫

評判の作品を今ごろになって読む。タイトル通りの描写はあるが、「首を切られた死体」ぐらいのワードは気にせず読めるミステリ読みならたぶん問題ないレベル。 設定は確かにSFなのだが、それがいろいろな固有名詞と巧みに組み合わされ、「これはどこかで起こ…

宮脇俊三『失われた鉄道を求めて(新装版)』文春文庫

ああしまった、これは旧版で読んでたわ。道中での出来事を淡々と綴っていて、誰でも書けそうな文章ではあるんだが、それでもよくある鉄道紀行と一線を画すのはどの部分なんだろう。起こった出来事を何でもかんでも書かずに、絞り込んで選ぶそのセンスなのか…

北森鴻『香菜里屋を知っていますか』講談社文庫

核になるネタは実にささやかなものだけど、これを人情味あふれる物語に仕立て上げる技。一言で言ってしまえば簡単なんだけど、この味付けの仕方は何度読んでも素晴らしい。キャラの動かし方が巧みということなのかなあ。空腹感を誘うこの香菜里屋シリーズ、…

宮武外骨『明治奇聞』河出文庫

宮武外骨の諸著作の中から、明治期の流行や風俗について論じたエッセイを集めたものなのだが、たまたま手に取って驚いたのが、関東大震災のもろもろに関する記録の項。当時流れたデマなど、つい最近の東日本大震災に絡んで見聞きしたものと重なるところが多…

仁木悦子『林の中の家 仁木兄妹の事件簿』ポプラ社文庫ピュアフル

厳密には再読。非常に込み入った推理が展開され、雄太郎と悦子の兄妹が進めていく捜査の過程もなかなか複雑なのだが、これを読み進めることが苦にならない驚きのリーダビリティ。手がかりや伏線も、一つ一つは派手ではないけれども、ちょっとした盲点をうま…

有川浩『図書館戦争』『図書館内乱』角川文庫

評判はかねてから聞いていたが手に取るチャンスのなかったシリーズを、文庫化を機に読む。おお、今さらではあるが、これは大当たり。 とんでもない設定だけど、その中で自由自在にキャラクターが動き回っている、無条件で楽しいエンタテイメント。特にセリフ…

原武史『鉄道ひとつばなし3』講談社現代新書

様々なジャンルのミニエッセイが詰まっている中で、やはり一番冴えているのは近現代史の出来事を鉄道という視点から語る部分(第2章や第6章)だろうと思う。ところどころ、生まれ育った西武沿線に対する屈折した感情が見られるけど。

山崎将志『仕事オンチな働き者』日経プレミアシリーズ

真っ正面から自己啓発書として読むよりは、軽いエッセイとして読むのがよい。3章の「「やるべきこと」は結局やらない」の章は、いろいろ身につまされた。特にこれを読んだのが3.11の地震の直後だっただけに。

森見登美彦『恋文の技術』ポプラ文庫

突っ走ったモノローグの文体に味がある森見登美彦だけに、全編書簡体の小説と来ればその味を思う存分堪能できるわけで。書簡体小説というアイデアを考えて登美彦氏に書かせてしまったポプラ社の編集さんナイス。そして9章の「失敗書簡集」は、電車の中で読…

米澤穂信(原作)山崎風愛(構成)おみおみ(作画)『夏期限定トロピカルパフェ事件(後)』Gファンタジーコミックス

原作の最大の見せ場、パフェを前にした「対決」の描き方がナイス。良いコミカライズ。さて、「秋期限定」もマンガ化されるのだろうか。そもそもその前に「冬期限定」の原作は出るのか?

新谷かおる『クリスティ・ハイテンション(6)』MFコミックス

オリジナルエピソードながら引き続きの安定感。いやこれは結構なホームズ・パスティーシュ・シリーズになりそうだ! どうかこの調子で「語られざる事件」をマンガ化していってほしいもの。

梅田望夫『どうして羽生さんだけが、そんなに強いんですか?―現代将棋と進化の物語』中央公論新社

過去の対局や戦法について、盛んに研究が進むようになった、最近の将棋界の動向についてはあまり詳しくなかったので、新鮮な驚きとともに面白く読んだ。そして、やっぱり羽生はすごい。

池田邦彦『シャーロッキアン!』双葉社アクションコミックス

シャーロッキアン的蘊蓄の解決が、現実のドラマに関わっていくという趣向は、ところどころに多少強引なところはあるが面白い。さて、後続の展開はどうなるか。

ほあしかのこ『新・鉄子の旅(2)』小学館IKKI COMIX

だいぶこなれてきたかなという印象。さて、そろそろこのシリーズの軸が欲しいなあ。『鉄子の旅』は、キクチさんと横見さんの「緊張感」がいい味を出していたわけだけど。

中村明日美子『鉄道少女漫画』白泉社

小田急。電車ネタというだけで手に取ってしまったが、爽やかな恋愛があふれる良い作品集。これは思わぬ拾い物。

ミステリー文学資料館(編)『江戸川乱歩に愛をこめて』光文社文庫

こういうテーマもののアンソロジーは、それこそホームズとかでもよくあるけど、収録作がバラエティに富んでいるのはやはり乱歩ワールドの幅広さか。面白い。

西原理恵子・佐藤優『週刊とりあたまニュース 最強コンビ結成!編』新潮社

サイバラのネタのヤバさが3割増のような気がする(笑)。これでもう少し、コラムとマンガが互いにツッコミを入れるようになると、しみーハカセとのお勉強シリーズを超える真の「最強コンビ」になるぞ。

夏海公司『なれる!SE3』電撃文庫

今度は提案編。スーパーエンジニアが超人的な力で一発逆転というのはラノベとしては非常に正しい。しかし、悲しいかな自分の仕事に引きつけて読んでしまい、こういう「無茶」なやり方じゃ会社も社員もみんな持たないぞ、という感覚が先にくるのが職業病。

夏海公司『なれる!SE2』電撃文庫

2巻は開発vs運用という業界定番の構図を持ってきつつ、1巻に比べるとぐっと物語が広がった感じで面白くなってきた。ラノベとして面白い世界観ができあがりそう。3巻は既に手元にあるけど、この先どう持っていくのかな。トラブルシューティングの緊張感と…

夏海公司『なれる!SE』電撃文庫

あああこれは平常心では読めなかったよ……。曲がりなりにもIT関連の業界にいて、しかも主人公の桜坂くんと似たような経験のある私にとっては、「お話の世界」と割り切れない妙にリアルな本だった……。 しかしこれ、特にIT系に関わりのない一般の読者さんから見…

今尾恵介『消えた駅名 駅名改称の裏に隠された謎と秘密』講談社+α文庫

こう言った本は、自分の身近な駅とか行ったことのある駅の変遷を追いかけて読むだけでも、いろいろ発見があって楽しい。ちなみに私は「聖蹟桜ヶ丘」の由来を初めてちゃんと知った。

松波成行・牛山隆信『酷道vs秘境駅』イカロス出版

非常にマニアックな対談なのだが、一方で「視野の狭さ」を感じさせないのは、安易な「廃線反対」「高速建設反対」論を採っていないこと。お二人とも道路なり鉄道の「歴史」からもアプローチしているからか、酷道も秘境駅も社会の仕組みの中で成立しているこ…

図子慧『晩夏』創元推理文庫

「レーベル買い」してそのままになっていたのを読んでみたのだが、おお、これは実に端正なミステリ。どこか透明感のある世界の中で、謎と感情の綾が重なり合って、非常に私好み。 創元の国内もので、特に何の脈絡も無くひょいっと復刊文庫化されるものはなか…

天久聖一『こどもの発想。「コロコロバカデミー」ベストセレクション』アスペクト

わはははは。これ、大喜利的な「うまい!」回答を楽しむというよりも、万国共通永久不変の「ガキんちょ脳」を笑いつつ懐かしむ本ですな。 男子という奴には、中二病的邪気眼を発動させたり脳みそがエロまみれの時代の前にあたる、ちょうど小学校高学年ぐらい…

西原理恵子『できるかな クアトロ』角川文庫

いややっぱりこれでこそサイバラだよ。映画化とかもあったので、泣ける方のサイバラに注目が集まっていた感はあるけど、丸く収まる気配がまるでないのが頼もしい。といいつつ、途中でふっと泣ける回想やエピソードを入れてくるのが卑怯(いい意味で)。