2002-01-01から1年間の記事一覧
協会賞短編部門受賞作「都市伝説パズル」を含む、5編の短編を収録する。ベストは、ホワイダニットのロジックが鮮やかで受賞したのもむべなるかなという「都市伝説パズル」、短編ながら話の展開がうまく、読みごたえのある「ABCD包囲網」、ロジックで押…
アラン・リトルウッドは肺病の療養のために、海沿いの町シーポートに住むフレッド・ポール医師の元へ向かった。そこでフレッド医師の妻、イヴリンと出会う。劣等感を抱えて生きてきたアランを初めて心から認めてくれるイヴリン。いつしか、アランはイヴリン…
私はガイド本の類もちょくちょく読んでいるのだが、なかなか面白いガイドがあったので紹介する。 おそらくワセミス系の評論家が中心になって編まれていると思われる。作家1人につき見開き2ページを使って、日本のミステリー作家を紹介していくというスタイ…
フランスとスイスの間のアルプスの襞に挟まれた小国、グランド・フェンウィック大公国に、石油危機の波が押し寄せてきた。大公国へのガソリン供給が月20ガロンに削減された結果、国内の自動車の半分(2台のうち1台)もがガス欠になり、そのガス欠になった…
ただウェブリングでつながっているだけじゃもったいないんで共同企画をやろうという、ウェブリング主催者アシェさんの発案により始まった今回のリレー企画。お題は「クリスマスのミステリー」ということで、つらつらと考えてみた。 真っ先に頭に思い浮かんだ…
誰もが何かを捜していて、誰もがどこかに行きたがり、誰もが他の誰かになりたがっている街、ニューヨーク。南米の小国デスカルソから、百万ドルはする踊るアステカ僧侶の黄金像が密かに持ちだされ、この大都会にやってきた。博物館に売りつけるはずが、より…
河出文庫の本格ミステリコレクションの最終第6巻を飾るのは、鷲尾三郎のトリッキーな作品を集めた選集である。 「よりによって」トリッキーなものばかりを集めた本、とも言える。サスペンス風味の強い「鬼胎」のような作品もあるが、基本的にどれも無茶苦茶…
日本文学史の中で鉄道紀行文というジャンルが"確立"されたのは、宮脇俊三が『時刻表2万キロ』(角川文庫)を書いてからだろう。だが、その前にも鉄道紀行文の「古典」に当たるものがいくつかある。その中で特に名が知られているのが、名随筆家・内田百けん…
コナン・ドイルの書いたシャーロック・ホームズものの代表作として挙げられることの多い長編、『バスカヴィル家の犬』。そのあらすじをドイルとともに考えたとされ、ドイル自身がこの作品の冒頭で献辞を書いている、バートラム・フレッチャー・ロビンソンと…
ちまちまと読み進めていた山村正夫『推理文壇戦後史(I〜III)』(双葉文庫)を読了。「推理小説史」には最近関心があるので興味深く読んだ。 その中で、こんな言及があった。 そういえば、推理文壇には“十年周期説”という面白いジンクスがあるのを、読者は…