2002-12-01から1ヶ月間の記事一覧

 法月綸太郎『法月綸太郎の功績』講談社ノベルス

協会賞短編部門受賞作「都市伝説パズル」を含む、5編の短編を収録する。ベストは、ホワイダニットのロジックが鮮やかで受賞したのもむべなるかなという「都市伝説パズル」、短編ながら話の展開がうまく、読みごたえのある「ABCD包囲網」、ロジックで押…

 F・アイルズ『被告の女性に関しては』国書刊行会

アラン・リトルウッドは肺病の療養のために、海沿いの町シーポートに住むフレッド・ポール医師の元へ向かった。そこでフレッド医師の妻、イヴリンと出会う。劣等感を抱えて生きてきたアランを初めて心から認めてくれるイヴリン。いつしか、アランはイヴリン…

 相川司・青山栄(編)『J’sミステリーズ KING&QUEEN』荒地出版社

私はガイド本の類もちょくちょく読んでいるのだが、なかなか面白いガイドがあったので紹介する。 おそらくワセミス系の評論家が中心になって編まれていると思われる。作家1人につき見開き2ページを使って、日本のミステリー作家を紹介していくというスタイ…

 L・ウイバーリー『小鼠 油田を掘りあてる』創元推理文庫

フランスとスイスの間のアルプスの襞に挟まれた小国、グランド・フェンウィック大公国に、石油危機の波が押し寄せてきた。大公国へのガソリン供給が月20ガロンに削減された結果、国内の自動車の半分(2台のうち1台)もがガス欠になり、そのガス欠になった…

ミステリー’zウェブリングリレー企画「クリスマスのミステリー」

ただウェブリングでつながっているだけじゃもったいないんで共同企画をやろうという、ウェブリング主催者アシェさんの発案により始まった今回のリレー企画。お題は「クリスマスのミステリー」ということで、つらつらと考えてみた。 真っ先に頭に思い浮かんだ…

 ドナルド・E・ウェストレイク『踊る黄金像』ハヤカワ文庫ミステリアス・プレス

誰もが何かを捜していて、誰もがどこかに行きたがり、誰もが他の誰かになりたがっている街、ニューヨーク。南米の小国デスカルソから、百万ドルはする踊るアステカ僧侶の黄金像が密かに持ちだされ、この大都会にやってきた。博物館に売りつけるはずが、より…

 鷲尾三郎『鷲尾三郎名作選 文殊の罠』河出文庫

河出文庫の本格ミステリコレクションの最終第6巻を飾るのは、鷲尾三郎のトリッキーな作品を集めた選集である。 「よりによって」トリッキーなものばかりを集めた本、とも言える。サスペンス風味の強い「鬼胎」のような作品もあるが、基本的にどれも無茶苦茶…