はやみねかおる『機巧館のかぞえ唄』講談社青い鳥文庫

そして第6作。老推理作家・平井龍太郎の住む洋館・機巧館。そこで開かれたパーティーに三姉妹は出ることになるのだが、パーティーの最中にホストである龍太郎が姿を消してしまう…。
個人的には、主な読者が小学生ぐらいの子供である本でメタミステリを書いてしまって、はたして小学生の読者はどれぐらい理解できるのかといういらぬ心配をしてしまった。小学校卒業後十数年の私も途中でおいてけぼりを食らう始末。いや、メタミステリは苦手なんだってば。
むしろ、作者が文中で書いている「分かる人には分かるネタ」にいちいち反応してしまった。「平井龍太郎」や「鮭紙賞」、作中作の『夢の中の失楽』あたりは見え見えだが、機巧館のコレクションに「上海香炉」があったり、そもそも機巧館は最初は「奇妙な館ばかりを設計する、中村という建築家」に設計を依頼して断られていたり、パーティーに出席している推理作家に、「黒い革手袋をしたまま」の人や「もじゃもじゃ頭の長身痩躯の男が、エレキギターをかき鳴らしている」ような人がいたり。一番のツボは、語り手の亜衣が、「長年さがしもとめていた天藤真の『あたしと真夏とスパイ』を手に入れた」と言う個所。あんたホンマに中学生か(笑)。