はやみねかおる『踊る夜光怪人』講談社青い鳥文庫

続いて第5作。近所の桜林公園に、全身が光り輝き頭が取れるという「夜光怪人」が出没するという噂が広まる。三姉妹はさっそく公園に張り込み、光る「夜光怪人」をその目で確かめた。その頃、亜衣とレーチは、後輩の水野千秋から、お寺の住職をしている彼女の父親の悩みを解決してくれるよう頼まれる…。
『亡霊(ゴースト)は夜歩く』で登場のレーチが大活躍の一作。それとともに夢水清志郎が演出する最後の「大団円」もとても楽しい。「名探偵の仕事は、みんなを笑顔にすること」というセリフをきれいに実現させてくれたように思う。
個人的には、ここに登場する暗号が気に入っている。別に大したものではなく、ちょっと経験値の高い人ならすぐに分かるネタではある。だが、解読のプロセスの中で、あるちょっとした盲点を折り込んでいるのを見て、「暗号に限らず、こういうようにして物事を見てしまうことはままありそうだよなあ」と、ちょっと考えさせられてしまった。まあ、しょせん「行間の読みすぎ」なのだが。