伊坂幸太郎『陽気なギャングが地球を回す』祥伝社ノン・ノベルス(ISBN:4396207557)

このミスの結果も既に出ているところで今さらだが、とても面白かった。重くなりがちな場面をさらっと流してテンポよく物語を進めるところにセンスを感じる。気の利いた会話の数々も楽しいし*1、登場人物も魅力的。何よりも、ギャングのメンバーはそれぞれかなりの特殊能力を持たされているものの、スーパーマンのようにその能力で全部解決させてしまうという安易な方法をとっていないのがよい。
【私信】私が読んでいるときは特に『大誘拐』っぽいとは思わなかったのですが、言われてみれば多少重なるところはあるかもしれません。ただ、こちらの読みどころが会話のやり取りなのに対し、『大誘拐』はシチュエーションのディテール、そして「動機」が読みどころ。ともかく、楽しんでください。>id:nao3307さん

*1:ただ、人によっては森博嗣と同様に「妙に気取っていてキザったらしい」と感じる人もいそうだ。