北森鴻『ちあき電脳探偵社』PHP文芸文庫

基本的にはジュブナイルなので、トリックとか題材もそれなりだし、現実離れした設定なんてのもある。だが、ひとつひとつの小道具の使い方がうまいなあ、と思わせるし、簡単とはいえ推理がちゃんとロジカルなのが心地いい。うまい。
気になったのが設定。主人公の男の子がコウスケで、シンスケという名前のお父さんは刑事。探偵役のヒロインのお母さんは少林寺拳法の道場をやっていて、ヒロイン本人も、「内と外」でしゃべり方が変わる。なによりヒロインの名前が「ちあき」で、「天国的美少女」という形容もされていて……。これはきっと北森さんの遊び心でありトリビュートだったんだろうな(と思いたい)。