J・テイ『時の娘』ハヤカワ文庫

うーん、歴史推理の妙は楽しめるものの、やはり大昔のおぼろげな高校世界史レベルの知識では、この面白さを存分に味わえなかったのが残念。しかし、やっぱりイギリスミステリだなあ、いいなあ、としみじみ思ったのも事実。とかく歴史用語がずらずらと並んで単調な物語になりがちな所を、ユーモアあふれる登場人物の掛け合いでページを前に進めさせる技はもっと注目してもよいかも。そしてこの手の文章になると小泉喜美子訳は本当に冴える。