ルールは破られるためにある
アンチ・ヴァン・ダイン、すなわちヴァン・ダインの二十則をすべて裏返して作った「反二十則」。同じようなネタを森博嗣が『森博嗣のミステリィ工作室 (講談社文庫)』の中で書いていたけれども、こちらはラディカルなのがまたよろし。
ただ、
- 偶然と思いつきでさくさくと捜査が進むご都合主義的展開
- ご当地の観光案内てんこ盛り
- なぜかラブシーンあり
- 「立派な刑事であったあなたがこんな形で手を汚すなんて、いったいどうしてなんですかーっ!」と主人公に涙ながらに責められる相棒の刑事が犯人
- 犯人は直接手を下すことなく、刑事の特権を使って他の者に犯行を行なわせていた
- 動機はちょっと社会派チックなもの
- 最後に犯人は自殺
という、そう言えばこんなのを2時間ドラマでやってなかったかと思われるミステリーで、反二十則の半分は満たせてしまう。そうか、2時間ドラマは本格ミステリへのアンチテーゼだったのか!