理論は時には大事

先日BS2で放送されたイ・ヨンエのドキュメンタリーなんかを見てたりしてまして。
この人の真面目な性格というものが至る所で垣間見えて興味深かった。特に、演技の勉強をするために大学院に入って演劇理論の勉強をしたというのが、いかにもこの人らしいと思った。
モデルなりグラビア出身の人が人気を買われてドラマに出てみたら演技がド下手だった、というのは日本でもよくある話。そのダメージを克服できずに芸能界から消える人もいれば、そこから演技の腕を磨いて女優へとステップアップしていく人もいる、というのも日本でも同じくよくある話。しかし、日本だと「演劇理論を学ぶ」という人はあまりいないような気がする*1。思索を好むタイプのイ・ヨンエとしては、抽象的な理論のレベルで演劇というものをつかみたかったのだろう。


ふと思う。いま演劇をやっている人って、演劇理論を読むのだろうか?
音楽をやる人なら、何らかの音楽理論に触れる人は多いと思われる。クラシックをやる人が楽典を勉強したり、ジャズをやる人がコードやモードなどのジャズ理論を勉強したりというのはままある話だ。演奏ではなく作曲を志す人ならばなおさら。一方で、文学理論を学んで文学を書く、という人はまずいない*2。では、演劇だとどうなんだろう。一昔前の演劇青年にはスタニスラフスキーブレヒトの演劇理論を読み込んでいる人はたくさんいただろうが、逆に現在はどうなのか。
このページに来て下さる方の中に演劇に関わっている方が何人かいたと思うので、よければ教えて下さいませ。

*1:もっとも、演劇理論を学べる大学・大学院・学校自体、日本ではあまり多くないのだろう。日大芸術学部ぐらいか?

*2:数少ない例外の一つは筒井康隆文学部唯野教授