ミステリけつだいら
昨日のトークショーで北村さんが「サイン順番待ちの間に考えておいてください」と言った「けつだいら」(面倒なのでこっちの名前で通す)のお題。誰かあの場で面白いアイデアを伝えた人はいるのだろうか。
私の方はすっかり忘れていたので、ここでやってしまおうと思う。せっかくだからミステリ関連に限定して、「ミステリけつだいら」と銘打ってみる。
北村さんがサンプルに出していてなおかつ笑ったのが「けたかた きんぞう」(←北方謙三)。ハードボイルドを書いたりヨットを乗り回すようには見えない。
もう一つ、『法月綸太郎の冒険』(講談社文庫)に出てきたのでよく覚えているのが、「エーベルト・ウンコ」(←ウンベルト・エーコ)。大記号学者も形なしである。
というわけで思いつくままに挙げてみる。ひとつお断りしておくが、ここでネタにした作家や作品そのものを貶めるつもりはまったくない。念のため書いておく。
- 「ひり もろし」(←森博嗣)
- 予想外にインパクトがあって驚く。
- 「クラリー・エイーン」(←エラリー・クイーン)
- もう少しで「アイーン!」ですな。
- 「ブリスチアナ・クランド」(←クリスチアナ・ブランド)
- 誰か本当にこう言い間違えそうではある。
- 「すしはら あなお」(←芦原すなお)
- 「すし」と「あな」の関係やいかに。
- 「まじ つさき」(←辻真先)
- よく考えればポテトの本名「牧薩次」は「辻真先」のアナグラムですが。
- 「せこみぞ よいし」(←横溝正史)
- ずいぶんと小人物っぽくなってしまった。
- 「こけち あごろう」(←明智小五郎)
- 顎十郎の劣化コピーみたい。
「けつだいら」は人名に限らず、「べこはまヨイスターズ」(←横浜ベイスターズ)、「俺につけてもそやつはカール」(←それにつけてもおやつはカール)といった固有名詞やフレーズでも適用可能。そこで題名やミステリ用語で考えてみる。
- 『肉のミステリな牧場』(←『ぼくのミステリな日常』若竹七海)
- これは会心の一作。常に良質の肉を生産する牧場をめぐる企業ミステリ。
- 『毛色の貧窮』(←『緋色の研究』コナン・ドイル)
- ホームズは飼い犬の毛並みの悪さから、飼い主の家で行われていた恐るべき企みを見抜いたのであった。
- 『マッド・ピストルズの謹慎』(←『キッド・ピストルズの慢心』山口雅也)
- 赤塚不二夫のマンガに出てくる、目玉のつながったおまわりさんを思い出したのは私だけか。
- 『天井のバキ』(←『盤上の敵』北村薫)
- 『グラップラー刃牙』はよく知らないけど。
- 『気取りは眉間』(←『緑は危険』C・ブランド)
- 田村正和ですか。
- 「メイイング・ダッセージ」(←ダイイング・メッセージ)
- 「ダッセージ」という響きがいいですな。
ざっと並べてみたけれども、これを上回る作品は絶対にあるはず。ミステリ好きなら、アナグラムなどの言葉遊びは好きだし得意だろう。うまくいけばめぐりめぐって、北村さんがエッセイのネタにしてくれるかもしれない。というわけで、何か思いついた方は黒猫荘掲示板の方までどうぞ。
ひとつ問題は、「松平健」や「ウンベルト・エーコ」の例が示す通り、どうしても面白い作品は下ネタになりがち、ということ。森博嗣の作品でひとつ思いついたものがあるが、ちょっと強烈なのでここでは自主規制している。さすがに人目につく掲示板ではちょっと……というネタはメールでどうぞ。