本格ミステリ」の定義についてネット上で話題になっている。
実はMYSCON4で徹夜して語ったときの思いつきを発展させてまとまった文章にしようと思っていたのだが、忙しさにかまけて手を付けずにいた。
そのうちきちんと⋯⋯と思っていると書かずに終わりそうなので、ごく簡単なスケッチだけここに書いておく。

私が一番「これは本格だなあ」と感じるポイントはずばり「伏線」である。
「あー、確かにこの手がかりは前に書いてあったよなー。これが伏線になっていたか。やーらーれーたー」という作品に「本格スピリッツ」を感じる。一つ例を挙げると以前にも書いたが「猟奇的な彼女」なんかに私は「本格スピリッツ」を感じた。小説家でいまパッと思いついた例を挙げると、乙一作品は基本的に本格ではないと思っているが、『失踪HOLIDAY』には「本格スピリッツ」を感じる(ちなみに第3回本格ミステリ大賞受賞作の『GOTH』は未読。ホラー色の強い作品は敬遠しているので、読み落としによる誤解があるかもしれない)。
ひるがえって(本格に限定せず)一般的なミステリの面白さを考えてみると、

  • 冒頭の謎が面白い
  • 手がかりを集めながら謎を解いていく過程が面白い
  • 結末のどんでん返し・サプライズが面白い

のどれかに集約されるだろう*1。だがこの中で、冒頭の謎とどんでん返しについては、冒険小説やハードボイルド、ホラーといった一般的なミステリーでも十分楽しめるし、あまつさえSFやファンタジー歴史小説でも楽しめるものである。それに対して、手がかり(伏線)を拾い集めていく過程というのは、本格ミステリでないと味わえない面白さである。
ここに「本格ならではの面白さ」、そして「本格だと感じるツボ」があるのだと思う。

あまり内容を整理しないままで書いた草稿だということをご了承いただきたい。いずれきちんと改稿してまとめるつもりはあるということで。

*1:これにもう一つ、ミステリだとかは関係なしに「純粋に読み物として面白い」という要素も存在する