内田和成『論点思考』東洋経済新報社

問題に対して網羅的にしらみつぶしに分析するのではなく、先に答えを想定する=仮説を立てて分析を進めるという「仮説思考」は、コンサルならずとも定番の思考術だろう。ただ、実は「仮説通りに分析して、真逆の結果が出たとしても、仮説の修正によってそれなりの結論に持っていける」というのが前提。
時に、「そもそも仮説の方向性が明後日を向いている」とか「分析を進めるうちに当たりがないことは分かりつつも、当初の仮説とつじつまを合わせることにとらわれてしまう」という弊害もある。そこから一段高い「論点」を押さえ、仮説というアンカーが正しい場所に打ち込まれているかをきちんと確かめないといけない、と。深く納得。
ただ、「論点を正しく導く方法」というのは、「現場に身を運ぶ」「アンテナを広げて引き出しを多く持つ」「高い視点から考える習慣を持つ」といった、至極当たり前の方法ばかり。これは結局小手先のテクニックではどうにもならないもので、「王道に勝るもの無し」ということなのね。