2007年度上半期購入本お蔵出し:(2)シャーロック・ホームズの周辺

続いて最近刊行が続いているホームズ関連本。意外とミステリ系新刊情報サイトでも拾ってくれないホームズ関連本情報を集めるには、2chミス板のニセホームズスレが大変重宝する。

  1. 五十嵐貴久シャーロック・ホームズと賢者の石』光文社カッパ・ノベルス
  2. 北原尚彦『シャーロック・ホームズ万華鏡本の雑誌社
  3. 新谷かおるクリスティ・ハイテンション(1)メディアファクトリーMFコミックス
  4. シナリオ工房月光(原作)/辻野よしてる(作画)『ホームズ・ツインズ!フレックスコミックス
  5. 剣解(他)『シャーロック・ホームズの新たな冒険〜踊る人形〜』あおばコミックス

1は、しばらくぶりの国内作家による贋作ホームズ短編集。ここ最近の国内物贋作ホームズがことごとく変化球ばかりだったのに対し、久しぶりの「正調」贋作なのが嬉しい。勝手な感想を付け加えるならば、各編の「趣向」に少々あざとさを感じたのがもったいないところ。じゃあどうすれば良くなるのかと言われても難しいが、たとえばホームズと他の人物をクロスオーバーさせるならば、クロスオーバーさせるためだけにその人物を出すのではなく、物語の展開の中で必然性を持って登場してほしい(必然性を感じさせてほしい)、というところか。
2は日本シャーロッキアン界の第一人者にして古本者の北原尚彦の、古本+ホームズの摩訶不思議な世界を語ったエッセイ。古本+ホームズの世界は『シャーロック・ホームズ秘宝館』一冊では収まり切れない広がりがあると言うことか。いやあ、クエストすべきホームズ本はまだまだ多いなあ。
残るはマンガ三冊。3は、頭脳明晰なれど少々やんちゃな、ホームズの姪・クリスティが主人公のマンガ。クリスティを始めとした個性的なキャラクターを、「ソア橋」や「赤髪連盟」などの正典ホームズにからめてくる所が面白い。ストーリーのテンポも良いし、これは続刊が楽しみ。4は「叔父がホームズ」の双子の姉弟が主人公。対象年齢層はやや低めながらなかなかの出来。続刊はないのだろうか。5はかれこれ5巻目に突入の、BL作家によるホームズ漫画化アンソロジー。刊行間隔がやや空いてきたが、このまま着実に全作マンガ化が完了するのかどうか。マンガホームズは数あれど、正典を全作マンガ化した全集ものは、子供向けを含めてもあまりないと聞いている。