ジャズ観るべ!

ひょんなことから友人と『スウィングガールズ』を見に行こう、という話になった。
が、調べてみると上映館がもうあまりない。協議の結果、友人は車を持っているので、ドライブがてら横浜の上映館に行こう、ということになった。
で、29日はご存知のように朝から関東は雪。それでも「道に積もってなければ大丈夫だろー」と友人が言うので、気にせず出発。結果的に横浜に着く頃には雨になったので問題はなかったが。

実際にビッグバンドをやっている人間なのでいろいろ余計なことが気になるのは避けられないと思い、細かい音楽的な部分のツッコミはきちんと封印して観ようと決めていたが、そんな変な配慮を気にすることなく最後まで楽しめた。ご都合主義も何のそのでラストのステージまで一気に突っ走ってしまうのが心地よい。演奏も、細かいアラとかはともかく、しっかりスウィングしてるじゃないか!*1 ジャズ初心者のころ、この感覚をつかむのにものすごく苦労した記憶があるだけに感心する。
演奏の楽しさや客席の盛り上がりが伝わる演出もうまく、ジャズの楽しさを分かりやすく伝えてくれた、いい映画だった。DVD買っちゃうかも。
とはいえちょこちょこジャズネタ・ブラバンネタ・楽器ネタに反応してしまうのはやはり楽器を触っている人間の哀しい性。トロンボーンを落っことすシーンがあると「うわっ、スライドが曲がる!」とびくっとするし、腹筋こそはしなかったが呼吸法のトレーニングはやったよなあとか、ロングトーンの練習やチューニングのシーンを入れていることに感心したり、トロンボーンの演奏シーンでは、実際の音とスライドのポジションが合っているかとかアンブシュア(吹く時の口の形)が気になったり、「お、トランペットにもトロンボーンにもちゃんとハイノートを出せる子が入ってるな*2」とか。


どうでもいいことその1。途中で登場する「スイングしなけりゃ意味ねえべ!」というセリフは、「スウィングしなけりゃ意味ないさ(It Don't Mean a Thing - If It Ain't Got That Swing)というデューク・エリントンの有名なナンバーにひっかけてある。けっこう知らない人が多いかも。
どうでもいいことその2。無口なボントロ眼鏡少女・関口香織(本仮屋ユイカ)に萌え。……あ、いや、本当にいい味を出していたと思う。他の女の子よりも早く音が出た時の何ともうれしそうな顔とか。

*1:つい買ってしまった『SWING GIRLS オリジナル・サウンドトラック』で改めて演奏を聴くと、熱心に練習してここまで仕上げたことがうかがえるし、経験がなくても吹きやすいようにうまく曲をアレンジしてあることが分かる。ただ、映画を観ている時は一切気にならなかった演奏のアラが分かってしまう。「録音」で音声だけ切り出すことの、ある種の残酷さを感じる。

*2:実際にどうやってパートを割り振ったのかがとても気になる。いくら初心者ばかりとはいえ、各パートのリード(1番奏者)はきっちり吹ける子を置かないとまずいわけだし。