「ジャケ買い」再考

惣坂真夏さんのところの「ジャケ買い」話(ここここを参照)をちょっと引っ張ってみる。

「よく知らないアーティストのCDやレコードを、ジャケットのデザインだけにひかれて買ってしまう」というのが「ジャケ買い」の辞書的な定義になるだろう。そして、普通は「ジャケット」と言わないCD以外のものにも、「ジャケ買い」という言い方をするのを目にすることも多い。ぱっと見たかぎりではその場合はかぎカッコ付きで「ジャケ買い」と書いているケースが多いようにも見えるが、もう少ししたら一般的に使われるかもしれない。
真夏さんのところにもコメントとして書いたのだが、音楽を聴く人の間で「ジャケ買い」という言葉が一般化して、それが本の方面にも使われるようになったというのが実際のところだと思う。本について言えば「表紙買い」「カバー買い」という言葉がある。しかし、「本の表紙買い」とか「本のカバー買い」と言われるより、「本のジャケ買い」と言われたほうがすんなり意味が分かるというのが私の感覚である。「ジャケ買い」=「(一般的に中身が無形の商品について)物のカバーやパッケージなど外見のデザインだけを見てそれだけで買ってしまうこと」という使い方が定着しつつあるのかもしれない。
ただ、「外見だけを見て買う」というのもいくつかの言葉がある。真夏さんが挙げていた例で言えば、ゲームや映画DVDなどの「パッケージ買い」や、ラノベなどで作画者が別にいる場合の「イラスト買い」がある。変則的な例で言えば、タイトルにひかれる「タイトル買い」もある。そして、場合によってはこういった意味も「ジャケ買い」という言葉の意味の中に入ってきているのかもしれない、という漠然とした仮説を立てている。
というわけで、上で書いてきたような「ジャケ買い」に関連する言葉を自分はこんなふうに使っている、というのがあったら掲示板なりメールでお気軽にどうぞ。ここを見ているのはミステリ関連の人以外にも音楽関連の友人もいるから、多少幅が出てくると思っている。
ちなみに私の場合、「ジャケ買い」と言ったほうが分かりやすいというのはさっき書いたが、実は本でもCDでも外見だけを見て「ジャケ買い/表紙買い」をすることはほとんどない。だから「ジャケ買い」に関する細かい違いの感覚はよく分からない。「タイトル買い」はしょっちゅうするが、これは「作者買い」「出版社/レーベル買い」に近くて、「ジャケ買い/表紙買い」とは別物だという感覚が強い。